18日に福岡市で「福岡モーターショー2015」が開幕した。最新モデルがずらりと並ぶ会場は自動車に乗る楽しさを強調する展示が目立つ。電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)といったエコカーにも走行性能や遊びの要素を付加。環境性能にとどまらない魅力を訴える新型車やコンセプトカーが顔をそろえた。
日産自動車のEVコンセプトカー「TEATRO for DAYZ」は真っ白な車内に映像を投映してインテリアを自由に「模様替え」できる。車内をゲームの画面として使うことも可能な機能を搭載した。
仲間とのつながりを重視する若年層に新たな自動車の楽しみを提案する。課外授業として訪れた福岡県八女市の男子高校生(17)は「ただ走るだけでなく、クルマを使ってどう遊ぶか、想像力が湧いてくる」と話した。
ホンダの「CLARITY FUEL CELL」
ホンダが2016年3月にリース販売を始めるFCV「CLARITY FUEL CELL」は「運転する楽しさも追求した」(同社)。FCVの長所である加速の良さと、ガソリン車と同等の安定したハンドリング感覚を両立。室内空間を広くし、5人乗りを実現した快適さも強調する。
富士重工業のコンセプトカー「VIZIV FUTURE CONCEPT」は希望を声で伝えると、最も適した目的地や現地の観光情報などを提案してくれる。「いますぐ出かけたくなる」(同社)機能を詰め込んだ。運転者の居眠り検知や自動運転技術なども搭載し安全にも配慮。他社のブースでも安全や自動運転技術につながる技術のアピールが目立った。
多くの来場者がデジカメやスマートフォン(スマホ)を向けて撮影していたのが欧州の若手デザイナーが「夢のスポーツカー」を形にした日産の「CONCEPT 2020」だ。
トヨタ自動車の「S-FR」
午前9時半の開場前から入場待ちの行列に並んでいた福岡県古賀市の70代男性は「やはり乗ったり見たりしていて楽しくなるクルマが増えてほしい」。こうした声を反映し、トヨタ自動車の小型スポーツカー「S―FR」も人気を集めていた。
各社の試乗会にも多くの参加者が集まった。トヨタのブースでは予約開始直後に予約枠がほぼ満員に。同社のFCV「MIRAI」に試乗した熊本県大津町の団体役員、秋岡利明さん(43)は「加速がスムーズでクルマの重さを感じない」と驚いた様子だった。
ショーでの展示や試乗会などを通じ、未来のクルマというイメージが強かったFCVも身近になりつつある。水素エネルギーには九州の産学官が連携して取り組んでおり、トヨタ自動車九州の金子達也社長は「いずれはFCV生産も手掛けたい」と意気込む。ショーで示されたクルマの未来像が九州の自動車産業の成長にも寄与しそうだ。
18日は1万9699人が来場した。