肺の気管支の表面にある細胞が、はうように動いて特定の場所に集まる様子の撮影に、理化学研究所多細胞システム形成研究センター(神戸市)のチームがマウスで成功し、米科学誌電子版に発表した。
この細胞は神経内分泌細胞(NE細胞)。肺の酸素濃度を検知するセンサーのような働きをするほか、がん化すると、転移しやすい小細胞肺がんになるとされている。
森本充チームリーダーは「転移のしやすさはNE細胞が動く力を持つことと関係するかもしれず、治療法開発につながる可能性がある」と話す。
チームによると、NE細胞は、気管支がいくつも枝分かれしている付け根の表面に塊になって存在する。
チームは、遺伝子を操作してNE細胞が蛍光色に光るマウスの胎児を作製し、肺を取り出して培養しながら、組織の深い部分まで鮮明に撮影できる特殊な顕微鏡で観察。NE細胞が、他の細胞の間を縫うように付け根の部分に集まる様子を捉えた。移動速度は1時間で約10マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルだった。〔共同〕