稚内市は18日、同市とロシア・サハリン州コルサコフ市を結ぶフェリー航路について、第三セクターの新会社を年内に設立して定期便を来年度から引き継ぐとしていた事業計画を白紙撤回した。新会社の設立を取りやめ、来年度の定期便の運航を断念する。採算性が壁となり、航路存続への模索は仕切り直しとなった。
1999年から定期運航してきたハートランドフェリー(札幌市)が不採算を理由に今年9月に撤退。市は10月、使用していた貨客船「アインス宗谷」を買い取り、定期運航を引き継ぐ事業計画を提示していた。
工藤広市長は18日開いた市議会の全員協議会で、「第三セクターがアインス宗谷を所有し定期フェリーを運航する手法は採用できない」と述べ、「来年6月をめどに考えていた定期航路の再開はかなわない」と定期便の断念を明言した。
市は人件費削減のため、アインス宗谷を日本船籍から、外国人船員が乗務する外国船籍に転籍する策を探ってきた。ただ、船員確保の困難に加え、安全検査や保険適用に必要な船級の取得が暗礁に乗り上げた。
工藤市長は「今後も定期航路の再開に全力を傾注する。当面は不定期便(チャーター)の運航も視野にあらゆる可能性を模索していきたい」と述べ、航路の存続に向け引き続き取り組む考えだ。