公安調査庁で中川清明長官(右)と面会した高橋シズヱさん=東京・霞が関
1995年にオウム真理教が地下鉄内で猛毒のサリンをまき、13人が死亡、6千人以上が負傷した「地下鉄サリン事件」から20日で22年となるのを前に、事件の被害者と遺族が14日、法務省と公安調査庁を訪れ、団体規制法に基づくオウム真理教への「観察処分」の継続などを要請した。
同庁によると、教団は現在、「アレフ」と「ひかりの輪」を中心に活動。両団体とも松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚の強い影響下にあるという。観察処分の期間中は、教団の資産内容や構成員の氏名などの定期的な報告が義務づけられる。処分は3年ごとの更新で、来年1月に期限となる。
両教団の報告によると、アレフは在家信徒対象のセミナーなどを開き、資産は9億円超(昨年10月末)。一方、昨年の被害者への賠償額は5千万円だった。
ひかりの輪は「オウム真理教犯罪被害者支援機構」と年間800万円の賠償を努力目標とすることで合意しているが、昨年の賠償額は約300万円だった。
事件で夫を失った高橋シズヱさん(70)は会見し、「教団は潤沢な資産で新たな施設を確保している。賠償責任を果たさないのは非常に不誠実だ」と話した。
被害者や遺族らは19日、「サリン事件から22年の集い」を東京都千代田区の日本教育会館で開く。午後1時から、入場無料。(志村英司)