中国電力は2016年4月にポイントサービスを導入する。電気料金に応じてたまったポイントを中国地方の特産品や地元スーパーで使える商品券と交換できるほか、イズミや山陰合同銀行のポイントサービスとも連携する。16年4月の電力小売り全面自由化で異業種からの参入が予想される中、地元企業との連携で顧客の囲い込みを狙う。
導入する「エネルギアポイント」は毎月の電気料金に応じてポイントを付与する。アンケート回答などでもポイントがたまる。ポイントを電気料金の支払いに使うことはできないが、特産品などと交換できるほか、公益性の高い団体への寄付などにも使える。ポイントの付与率など詳細は今後詰める。来年1月中旬に会員登録の受け付けを開始。初年度は会員数50万人を目指す。
24日、イズミとポイントサービスで提携すると発表した。イズミの提携メニュー「ゆめタウンメニュー」に登録すれば、電気料金に応じたポイントが通常の1.5倍になる。1ポイントをイズミの電子マネー「ゆめか」1円分として使えるほか、500ポイントたまれば500円分の商品券と交換できる。イズミの店舗で割引が受けられるクーポンの贈呈といった特典も付ける。
中国電の伊藤豪朗上席執行役員は記者会見で「自由化を勝ち残るには地元基盤を固めることが不可欠」と述べた。イズミの梶原雄一朗専務は「地域に密着したサービスを提供していく上で、中国電との取り組みは今後の展開の柱となる」と話した。ポイントサービス以外にも提携内容を拡大することも検討している。
イズミのポイントカード「ゆめカード」は中国地方で234万人が利用している。電力小売り自由化以降は、一般家庭が電気の購入先を自由に選ぶことができるようになる。全国ではKDDIなど電力以外の業界からの新規参入が相次ぐ見通し。中国電は中国地方の有力企業であるイズミと連携し、競争が激化する家庭向け市場での訴求力を高める狙いだ。
今後、中国電は通信子会社エネルギア・コミュニケーションズ(広島市)のインターネットサービスと連携した料金プランなど、新たな料金体制も打ち出す方針。25日には山陰合銀との提携も発表する。
伊藤上席執行役員は「各エリアで有力な企業との提携交渉も進めている」と明らかにした。ポイントサービスの提携先を増やしメニューも多様化する。