政府は25日、旧日本軍による従軍慰安婦問題の早期妥結に向け、岸田文雄外相の28日の韓国訪問に向けた調整を加速させた。岸田氏は25日の閣議後の記者会見で「日韓関係、慰安婦問題に知恵を絞り、全力で取り組み、汗をかく用意がある」と述べ、早期妥結に意欲を示した。日本政府は元慰安婦への支援を広げるため、政府支出での新たな基金を設立する方向で検討している。
閣議後、記者の質問に答える岸田外相(25日午前、首相官邸)
岸田氏は慰安婦問題が妥結する可能性について「相手のあることなので今の時点で予断を持って申し上げることは控える」と指摘。菅義偉官房長官は記者会見で「協議の内容についてはコメントを控える」と語った。安倍晋三首相は24日に首相官邸で岸田氏と会談し、年内に韓国を訪問するよう直接指示。岸田氏は28日午後に韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相とソウルで会談する。
日本政府は元慰安婦への支援として、2007年に解散したアジア女性基金のフォローアップ事業で、人道支援目的で元慰安婦に医薬品などを届けている。15年度予算では約1500万円を計上した。
韓国は元慰安婦の名誉回復に向け(1)日本の責任に言及した安倍首相のおわび(2)日本政府の財政支出による元慰安婦支援――を重視。日本政府内には、元慰安婦への手紙などの形で、首相が「責任」や「おわび」に言及する案がある。日本の駐韓大使が元慰安婦に面会する構想も取り沙汰されている。