【ニューヨーク=山下晃】米債券市場で政策金利の影響を受けやすい2年物国債の相場が下落(利回りは上昇)している。29日の利回りは1.09%で終え、2010年4月以来ほぼ5年8カ月ぶりの高水準となった。30日午前もやや上昇して推移。目先の米景気が堅調で、12月に9年半ぶりの利上げに踏み切った米連邦準備理事会(FRB)が、追加利上げに踏み出しやすくなったとの思惑が市場に広まっている。
29日には長期金利の指標の10年債の利回りも上がったが、6月に記録した15年の最高水準(約2.5%)に届いていない。
29日公表の米国の経済指標、S&Pケース・シラー住宅価格指数(10月)の前月比上昇率は事前予想を上回った。12月の消費者信頼感指数も3カ月ぶりに前月より上昇し、上げ幅も予想以上だった。このため米国の年末商戦が堅調だったとの観測が浮上し、個人消費が大きく左右する米国の景気がなお拡大傾向にあるとの見方が強まった。
ニューヨークをはじめとする米北東部では、年の瀬になっても比較的暖かい日々が多い。15年1~3月は厳しい寒波に見舞われ、経済活動も大きく停滞したが、16年の初頭は厳冬の可能性は低いとの指摘が目立つ。「天候が景気の足かせにならないようなら、FRBは早ければ3月にも追加利上げに踏み切る」と指摘する市場関係者は多い。
10年債の利回りも上昇する傾向にある。29日は前日比0.07%高の2.30%で取引を終えた。
FRBのイエレン議長は今後の金利引き上げペースについて「緩やか」だと強調している。金融政策が緩和基調のままの日本や欧州の投資家は引き締め方向にかじを切った米国の国債購入には一般に意欲的といえる。