【NQNニューヨーク=神能淳志】6日の米株式相場には売りが先行した。午前9時35分現在、ダウ工業株30種平均は前日比253ドル66セント安の1万6905ドル00セント、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は同73.959ポイント安の4817.471で推移している。中国経済の先行き不透明感に加え、北朝鮮の核開発問題が市場心理を冷やし、米株式には売りが膨らんだ。原油価格が大きく下げたことも相場を下押しした。
6日発表された2015年12月の中国の非製造業購買担当者景気指数(PMI)は1年5カ月ぶりの水準まで低下。製造業に続いて非製造業でも景況感は改善の兆しがみられず、同国景気の先行きに対する懸念が強まった。北朝鮮が水爆実験に成功したと発表し、同国に対する経済制裁の強化が検討されるなど地政学的リスクの高まりも嫌気された。欧州の株価指数が軒並み下げ、米株式市場でもリスクを回避する動きが強まった。
国際指標油種である北海ブレント原油先物は一時1バレル34ドル台半ばと約11年半ぶりの安値を更新した。米指標油種のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近2月物も一時34.48ドルまで下げ、期近物としては昨年12月21日に付けた約6年10カ月ぶりの安値(33.98ドル)に迫った。業績への悪影響が懸念され、石油大手のシェブロンなどエネルギー関連株には売りがかさみ、相場を押し下げた。
一方で、米雇用情勢の着実な改善が米株式相場の支えとなった。米民間雇用サービス会社オートマチック・データ・プロセッシング(ADP)が取引開始前に発表した15年12月の全米雇用リポートでは非農業部門の雇用者数が前月比25万7000人増だった。市場予想(19万5000人程度の増加)を大幅に上回ったことが好感された。
個別ではアップルが安い。アプリ配信サービス「アップストア」の売り上げは15年が200億ドルを超えたと発表したが、主力のスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の売れ行きに対する警戒が根強く売りが優勢だった。物言う株主で知られるヘッジファンド、スターボード・バリューが経営陣に対して不信感を示す新たな書簡を送った米ヤフーも売られた。通信のベライゾン・コミュニケーションズや建機のキャタピラーなどダウ平均を構成する30銘柄全てが下落している。