【ソウル=小倉健太郎】韓国のサムスン電子が8日発表した2015年12月期通期の連結決算速報値は、営業利益が26兆3700億ウォン(約2.6兆円)と前年比5%増えた。半導体部門の好調に加えスマートフォン(スマホ)関連部門を中心にコストも減らした。スマホ不振による業績悪化にまずは1年で歯止めをかけた。
売上高は200兆3400億ウォンと3%減った。減収は2年連続でなお本調子ではない。売上高営業利益率は13.2%だった。業績の部門別内訳は月末に確報値と合わせて公表する。
15年10~12月期の連結営業利益は前年同期比15%増の6兆1000億ウォン、売上高は1%増の53兆ウォンだった。
スマホは高価格帯で米アップル、中低価格帯では中国勢との厳しい競争が続いており、15年通期では部門利益が前の年を下回ったとみられる。ただ、機種数の絞り込みにより開発などにかかるコストを抑制し、在庫管理も厳格化したことなどで四半期ベースでは下げ止まっている。
半導体部門は大幅な増益だったようだ。主力のメモリー半導体は、スマホで中低価格製品を含めて一台当たりの使用量が増えており、他社向けを含めて需要が大幅に拡大した。データセンター向けなども伸びた。スマホの頭脳の役割をするシステムLSI(大規模集積回路)も米アップル向けの受注などで工場稼働率が上がって採算が改善した。
ディスプレーは液晶パネルの市況が低下した一方、スマホ用の有機ELパネルは中国メーカーなどへの外販を本格化したことで復調している。テレビや洗濯機といった家電部門はロシアや南米経済の混乱もあり伸び悩んだとみられる。