日銀は8日、昨年12月17~18日の金融政策決定会合で出された「主な意見」を初めて公表した。異次元緩和の先行きについて「より長い期間継続する可能性が出てきている」との指摘があった。追加緩和の必要性に言及する意見はなかったものの、原油安に伴う物価上昇ペースの鈍化や海外経済の下振れといったリスク要因を懸念する声が相次いだ。
12月会合では異次元緩和を円滑にする補完措置を決めた。日銀が買う国債の平均残存期間を長くしたり、設備投資や賃上げに積極的な企業の株式を組み込んだ上場投資信託(ETF)を年3千億円買ったりする。
補完措置の評価としては「量的・質的金融緩和をしっかり継続し、必要と判断した場合には迅速に調整できるようにするものだ」と賛成する意見が出された。経済の好循環を後押しする効果を期待する声もあった。
逆に「かえって量的・質的金融緩和の限界が意識され、市場との対話が難しくなる」と指摘し、副作用を懸念する委員もいた。補完措置は3人の委員が反対したが、「主な意見」の公表で意見が分かれた背景などが明らかになった。
物価の基調は「改善している」との見方が優勢だった。ただ足元の原油価格下落には「想定以上に下がっており、消費者物価指数(CPI)の上昇ペースがより緩やかになるリスクが出てきている」と言及する委員もいた。企業の賃上げへの慎重姿勢が将来的な物価上昇を抑える要因になるとの意見もあった。
▼日銀金融政策決定会合の主な意見 決定会合の年8回開催への変更などの運営見直し策の一つ。これまで次回会合後に公表する議事要旨でしか会合の議論が分からなかったが、会合の1週間後をめどに9人の政策委員の発言をまとめた「主な意見」を公表することで情報発信を強化する。会合1週間後をめどに主な意見、約1カ月半後に議事要旨が公表される。