記者会見する日本銀行の木内登英審議委員=23日午後、甲府市
日本銀行は、長期金利を「ゼロ%程度」に操作するための国債買い入れの日程の事前公表を検討している。最近、日銀の買い入れを巡る市場の思惑で長期金利が急変動する事態となっているためだ。ただ、昨秋から行う金利操作には日銀内からも批判が出ている。
日銀は昨年9月、長期金利を操作する新政策を決定。現在は毎月末、翌月買う国債の銘柄別買い入れ予定額を公表している。日銀が市場調節(オペレーション=オペ)で買うと国債が市場で品薄になり、金利が下がりやすい(国債は値上がり)ため、債券市場の投資家は日銀のオペがあるかどうかを注視している。
昨秋の米大統領選でのトランプ氏勝利以降、米国で金利が上昇し、日本でも長期金利が上昇。日銀が上昇をいつ抑えるか注目が高まった。今年1月下旬には、日銀がオペを行わなかったことが「想定外」と受け止められ、金利が上昇。2月3日は一時0・150%まで上がり、日銀は緊急的な「指し値オペ」を2カ月半ぶりに行った。
こうした事態を受け、日銀は今月末から、翌月の国債買い入れについて、買い入れ額だけでなく、買い入れる日も示す方向で検討している。オペの日程を巡る思惑で金利が急変動することを防ぐ狙いだ。
ただ、長期金利を「ゼロ%程度」に事実上固定する昨秋からの政策について、日銀の木内登英(たかひで)審議委員は23日、甲府市での講演と記者会見で、「国債市場の機能を著しく損ねて不安定化させる」と指摘した。最近の金利上昇圧力について「最初の大きな試練を迎えている」と述べた。
木内氏は長期金利操作は「マイナスの側面が多くある」とし、「金融市場全体の価格体系をゆがめかねない」「時間が経てば経つほど操作が難しくなっていく」などと述べた。(土居新平、福山亜希)