プロ野球横浜DeNAベイスターズは21日、本拠地の横浜スタジアムの運営会社のTOB(株式公開買い付け)が成立したことを発表した。TOB後のベイスターズの持ち株比率は7割を超え、主要株主の横浜市、横浜銀行を合わせると8割を超える。今後は市とも連動しつつ、チームカラーを反映させた球場改装や飲食スペースの充実など地域に密着した拠点作りを進める。
2016年はオレンジ色のシートをブルーに統一。耐震補強などを含め数十億円かけて改修する
今回、78%の市民株主がTOBに応じた。池田純・球団社長は「本当に大きな責任を与えられた」として、市民との距離を縮める球場として改築していく方針を明らかにした。開幕が迫った今年は球場のシートをブルーに統一。2017年以降に耐震補強を含めて数十億円を球場改装に充てる方針。さらに一体経営によるコスト削減で選手の補強費に充てる考え。
プロ野球のゲーム以外でも音楽イベントなどを積極的に開催するほか、飲食スペースを拡充、球場の名物フードなどもつくる。池田社長は「文化的な価値の高い魅力的なボールパークとしたい」としており、まちづくりの拠点として利用できるような施設を目指す。
横浜市は今回のTOBに応じず5.75%の持ち株比率を維持、引き続き球場運営に影響力を維持する。4.89%を保有していた横浜銀行は一部TOBに応じたが、主要株主としての立場は維持した。同行は「今後も株式の保有を継続して、市とともに球場経営に参画する」としている。
一方で、地元経済界では客席数4万人規模のドーム球場をみなとみらい(MM)21地区や山下ふ頭を候補地として建設する構想も浮上している。横浜商工会議所はドーム建設の経済効果を検討する専門委員会を設置、イベントによる集客構想を後押しする。上野孝会頭はTOBについて「より地域に密着した体制づくりとファンサービスの充実につながるよう期待する」とした。
市と球場運営会社が結んでいる管理・運営協定は23年3月に満了となる。協定締結当時を知るスタジアム関係者は「期限後も球場運営会社が管理・運営を担うことが前提」としている。その一方で、築40年近い球場の老朽化を指摘する声もあり、地元経済界には「建ぺい率一杯のスタジアムの増改築は難しい。ドーム建設で代替できないか」との意見もある。