ミクニワールドスタジアム北九州。右手に映るバックスタンドのすぐ後ろには海面が見える=2月10日撮影
北九州市のJR小倉駅近くに新設された「ミクニワールドスタジアム北九州」で12日、J3北九州が新本拠での開幕戦に臨み、秋田と1―1で引き分けた。観客席はほぼ埋まり、北九州の本拠試合で最多だった2009年3月15日の9856人(前身のニューウェーブ北九州時代)を大きく上回る1万4935人が詰めかけた。J3史上でも最多の観客数となった。
(withnews)新スタジアム「海ポチャ」仕様の理由 フェンス作るより合理的?
同スタジアムは関門海峡に面し、観客席からは船舶の往来も眺められる。岸壁に隣接するスタジアム東側のフェンスには「魚つり禁止」という掲示もあるほど、海は目の前だ。観客などが海へ転落する恐れもあるため、救難浮輪も用意。地元漁連の協力も得て、船も待機した。クラブはこのスタジアムで試合を行う場合は、こうした処置を続けていくという。
海に近いため、スタジアムのこけら落としとなった2月18日のラグビーの試合では、選手がタッチキックしたボールがスタジアムを飛び越えて海に飛び込む「海ポチャ」の一幕もあり、そのボールは回収された。スタジアムを建設した北九州市はボールが海に飛び込んだ場合、試合の運営主催者にボールを自主回収することを呼びかけている。12日はボールが海に入ることはなかった。
スタジアムの整備費は約100億円で、今年1月に完成。クラブはJ1仕様のこのスタジアム完成とともに、今季J1を戦うことを目指していたが、昨季J2で最下位に終わって初めてJ3へ降格。今季から指揮する原田監督は「(開幕戦と新スタジアムの)両方の理由で選手には硬さがあった。勝ち点1を取れて良かった。1年の最後に頂点に立っていたい」と話した。(堤之剛)