前半、競り合う浦和の柏木(右)と横浜マの斎藤=関田航撮影
(25日、横浜マ3―2浦和)
相手が見せたすき。新生横浜マは、そこを見逃さなかった。
後半20分までに2点を奪われて逆転され、なお猛攻に耐えていた。同28分。逃げ切りを図る浦和がDFの数を増やし、攻め手を緩めた。横浜マの斎藤は「まだチャンスがある」と感じたという。
相手への圧力を高めて奪ったボールを斎藤に集め、チームは息を吹き返した。41分に左CKから同点。その6分後の勝ち越し点は、切れ味あるドリブルで斎藤が導き出した。
ゴール前に切れ込み、2人、3人とDFを引きつけて中央へラストパス。前田が左隅に流し込んで決勝点。やはり斎藤がかき回して生まれた先制点とそっくりの形に、浦和のペトロビッチ監督は「横浜マに負けたというより、斎藤に負けた」と嘆くしかない。
昨オフ、横浜マは揺れた。世代交代を進める方針にベテランが反発。10位と低迷したモンバエルツ監督も求心力を失った。海外移籍を探った斎藤自身も「心と体のバランスを埋めないといけなかった」と話す。
クラブの顔だった中村が去る痛みは伴ったが、天野は「若手や中堅に責任と覚悟が出て、チームに競争が生まれた」という。
39歳の誕生日を迎えた中沢は釘を刺すことを忘れなかった。「点の取り合いをして勝つチームではない。まだまだでしょ」。若返ったチームに勢いと不安定さは同居するが、荒波を乗り越えた先の逆転劇だった。(潮智史)
○モンバエルツ監督(マ) 「後半はボールを奪うのが難しかった。選手が気持ちの強さを見せた。球際や運動量など高い強度で戦ってくれた」
○斎藤(マ) ドリブルからのパスで2点をアシスト。「逆転されたあともまだチャンスがあると感じていた。主将の責任も重圧も感じている」
○前田(マ) 終了間際の決勝点。「点だけを狙っていた。いいボールが来たので流し込んだだけ。ベンチ外が多かった昨年の経験を生かしたかった」