【バーゼル=加藤貴行】欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が27日発表した2015年12月期決算は、純利益が前期比41%減の3億3400万ユーロ(約430億円)だった。米国のリコール(無料の回収・修理)や生産再編の費用計上が響いた。北米の本業は収益が拡大し、一時的な費用を除く調整後営業利益は40%増の52億6700万ユーロとなった。
売上高は18%増の1131億9100万ユーロ。ブラジルなど新興市場の不振で世界販売台数は461万台と2千台の増加にとどまったが、ユーロ安の恩恵を受けた。
地域・部門別の調整後営業利益は、北米が44億ユーロと倍増。欧州は南欧市場の回復に支えられ黒字転換した半面、南米は販売急減が響いて赤字と、北米依存度が高まった。
16年12月の業績予想は売上高が1100億ユーロ、調整後営業利益は50億ユーロとした。FCAは今月初め、前期に5億ユーロ弱を稼いだ高級スポーツカーメーカー、フェラーリの全株を売却し、今期はフェラーリの収益への寄与がゼロになる。米国で売れ筋のピックアップトラックの増産などに動き、北米市場頼みがさらに強まる見通しだ。
セルジオ・マルキオーネ最高経営責任者(CEO)は同日の電話会見で、独フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正に関し、「全車種を見直したが違法ソフトは見つかっていない。路上と試験室の結果も同じだ」と述べ、影響はないことを強調した。