辞任した甘利明前経済財政・再生相を巡る金銭授受問題で、都市再生機構(UR)は1日、千葉県の建設会社との補償交渉に絡み、甘利氏の当時の秘書と職員との面談内容の一部を明らかにした。秘書は事実確認の説明を繰り返し求め、「(建設会社の)話を聞いてもらうだけでいい。甘利事務所の顔を立ててもらえないか」などと発言。補償交渉に介在していた実態が浮き彫りになった。
URは「(補償額の)上乗せを示唆するような発言はなく、交渉に影響はなかった」としている。
URによると、補償交渉を巡っては甘利事務所の複数の秘書とUR職員が2013年6月から16年1月までに計12回面談。うち10回分について職員が残したやり取りのメモを公表し、個人名のほか、継続中の補償交渉の内容については黒塗りにした。
発表によると、13年6月の最初の面談後、10回の面談が15年10月以降に集中。同年10月9日には議員会館で秘書1人に対してUR職員3人が建設会社への移転補償の経緯などを説明し、13年8月に支払った「2億2千万円」という具体的な補償金額も伝えていた。
甘利氏の秘書はその後のやり取りで、「少しイロを付けてでも(建設会社に)地区外に出ていってもらう方がよいのでは」「先方の話を聞いてもらうだけでいい。甘利事務所の顔を立ててもらえないか」と発言。一方で「本件はうちの事務所ではどうにもできないし、圧力をかけてカネが上がったなどあってはならない」とも話しており、URは他の面談日も含め、甘利氏の秘書からの圧力を否定している。
URは11年9月ごろに建設会社と補償協議を始め、同社の資材置き場がURの道路建設に伴い使えなくなることなどから、13年8月までに約2億3千万円を支払った。その後も建物の損傷修復費などを補償、一部の交渉は今も続いている。
建設会社の総務担当者は疑惑を報じた週刊文春に対し、甘利氏や秘書への金銭提供が補償交渉への「口利き」の見返りだったと証言。一方で甘利氏は先月28日の辞任会見で、自身や秘書が建設会社側から現金600万円を受け取ったことを認めたが、秘書も含めて補償交渉への介入を否定する説明をしている。