【バルセロナ=小川義也】交流サイト(SNS)最大手の米フェイスブックは22日、次世代の通信インフラの開発で世界の通信事業者や通信機器メーカー30社と提携すると発表した。スマートフォン(スマホ)の普及に伴うデータ通信量の爆発的増加に対応できる低コストで効率的な通信機器を共同で開発。世界人口の半分以下にとどまるネット利用者の拡大に向け、通信網の高度化を後押しする。
通信機器大手のノキア(フィンランド)やドイツテレコム、半導体最大手の米インテルなどと「テレコム・インフラ・プロジェクト(TIP)」を立ち上げた。
TIPは通信機器の設計図や仕様を無償で公開する「オープンソース」方式で開発を進める。フェイスブックはクラウドの普及で需要が伸びているデータセンターについても、「オープン・コンピュート・プロジェクト(OCP)」と呼ぶ同様のプロジェクトを発足。参加企業の知見を生かすことで、サーバーなどのコストを大幅に引き下げた実績がある。
バルセロナで22日開幕した世界最大の携帯電話見本市「モバイル・ワールド・コングレス」で講演したマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、「オープンソース化で(TIP仕様の通信機器を)採用する企業が増えれば、コストが下がる。下がった分を消費者に還元することも可能だ」とメリットを強調した。
通信機器大手の米シスコシステムズによると、スマホの普及などで世界のデータ通信量は今後5年間で現在の約8倍に増える見通し。世界で16億人近くが利用するフェイスブックが通信インフラの高度化に主体的にかかわる背景には、通信事業者の間で根強いネット企業の「ただ乗り」批判をかわす狙いもありそうだ。