熊本県を震源とする強い地震の発生から一夜明けた15日、県内に立地する多くの工場が稼働を止め、被害の確認を急いでいる。店内での営業を見合わせるスーパーや休業するコンビニエンスストアもあった。
熊本で震度7 これまでの経過を時系列で
特集:熊本地震
午前中に稼働を見合わせたのは、半導体のソニー子会社「ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング」の熊本テクノロジーセンター(菊陽町)、ホンダの二輪車の製造拠点の熊本製作所(大津町)、三菱電機のエアコンなど向け半導体工場(合志市)と液晶関連の工場(菊池市)、ブリヂストン熊本工場(玉名市)などだ。
ソニーの熊本テクノロジーセンターでは15日午前10時ごろ、自宅待機を指示された社員らが続々と退社していた。スマートフォンのカメラなどのセンサーの製造ラインが止まり、復旧のめどは立っていない。壁の一部がはがれたり、製造装置の部品が外れたりする被害が確認されているという。
開発担当の30代従業員は「ものすごい揺れだったが、人的被害がなくてよかった」と話した。一方、大津町の自宅は地震の揺れで散乱しているといい、「これから部屋の片付けをしないと」とつぶやいた。
ホンダの熊本製作所では、余震が続いているため工場内の確認が思うように進んでいないという。午後も含めて、15日は終日稼働をとりやめる。午前8時45分現在、14日に勤務していた従業員にけががなかったことは確認した。非番だった従業員の安否の確認にも努めているという。
三菱電機の半導体工場や液晶関連の工場では、管理職が出勤して建物の損傷を調べている。建設機械などに使うゴム製品や工業用ゴムホースを生産しているブリヂストンの熊本工場も、安全確認をしている。
また、熊本県外でも、トヨタ自動車九州が福岡県宮若市の宮田工場で午後も含めて15日の操業を見合わせる。被害地域からは離れているが、仕入れ先の部品メーカーの状況を確認するためという。
スーパーなどでは、イオン九州が、宇城店(宇城市)と熊本店(嘉島町)で、地震の影響で壁が崩落するなどの被害が出たため、店内での営業を休止した。代わりに午前8時から店の前で、災害時に必要とされる食料品や水などを販売している。熊本中央店(熊本市)と大津ショッピングプラザ(大津町)の2店では商品が散らばるなどし、1階の食品売り場のみ営業している。
停電や商品が落下した影響で熊本市内の一部の店舗を休業しているコンビニ各社は、被災者の支援に動いた。ローソンは熊本市内にカップ麺1千食、水1200本を届ける。セブン&アイ・ホールディングスも、益城町役場におにぎり1千個と水1千本を届ける。ファミリーマートも、おにぎり500個、水500本を益城町役場に届ける。各社は、全国で募金活動の準備も進める。