アイシン精機の子会社の「アイシン九州」。生産が止まるなか、作業員らが出入りしていた=17日午後4時23分、熊本市南区、神沢和敬撮影
熊本地震の影響で、自動車メーカーは部品調達に支障が出始めている。九州の生産拠点では週末も、余震が続くなかで確認や復旧作業に追われた。
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日産自動車は、子会社の工場(福岡県苅田町)を18日は通常通り動かす。ただ、部品調達に懸念があるとして、19日以降の操業は改めて判断するという。
軽自動車を組み立てるダイハツ工業の子会社の大分第1、第2工場(大分県中津市)、エンジンをつくる久留米工場(福岡県久留米市)は、22日まで生産を停止。三菱自動車の水島製作所(岡山県倉敷市)も、軽自動車などの生産を18日に減らし、19日に止めることをすでに決めている。
震源に近い拠点では、余震との戦いが続いている。
ホンダは二輪車を主につくる熊本製作所(熊本県大津町)を、22日まで止める。設備が損傷したうえ、点検も思うように進まず、その先もまだ見通せていないという。
ルネサスエレクトロニクス子会社の川尻工場(熊本市)は、自動車用半導体などの生産が止まったままだ。危険な薬液やガスを使う設備があるが、余震の多発で近づくことができず、点検が遅れている。自動車部品メーカーなどへの影響は、「半導体は種類が非常に多く、状況の把握に時間がかかる」(広報)としている。
熊本県内では、17日夕時点で、三菱電機の半導体関連の工場(合志市)と液晶関連工場(菊池市)、プリンター部品などをつくるパナソニックの子会社「パナソニックプレシジョンデバイス」(和水町)などで再開のめどがたっていない。
一方、スマートフォンなどのカメラ向け画像センサーなどを製造するソニーの半導体子会社、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリングの長崎テクノロジーセンター(長崎県諫早市)、大分テクノロジーセンター(大分市)は、16日未明の強い地震で一部ラインが止まったものの、17日にすべて復旧した。
食品関連では、サントリーの九州熊本工場(熊本県嘉島町)が復旧のめどが立っていない。ビール類や水、コーヒーなどの出荷が遅れているという。
山崎製パンは17日、熊本工場(熊本県宇城市)での生産を品目をしぼって再開した。18日からは、パンなどを熊本県内を中心に出荷できるという。