会合後の記者会見で質問に答えるカタールのサダ・エネルギー産業相=17日、ドーハ、中川仁樹撮影
石油輸出国機構(OPEC)の加盟国や、非加盟のロシアなど18の産油国が17日、カタールの首都ドーハで会合を開き、供給過剰にある原油の生産を増やさないための具体策を話し合った。だが、増産を計画するイランへの対応などで意見が割れ、増産凍結で合意できなかった。6月のOPEC総会に向けて協議を続けることになった。
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これを受け、ニューヨーク商業取引所では、国際指標の米国産WTI原油の先物相場が日本時間18日午前の時間外取引で大幅に値下がりした。一時、前週末の終値より2・75ドルほど低い1バレル=37・60ドル近辺をつけた。18日の東京株式市場では日経平均株価が一時、前週末の終値と比べ593円下落した。日経平均の午前の終値は、前週末の終値より503円94銭(2・99%)安い1万6344円09銭。原油先物価格の下落に加えて、熊本県を中心に余震が相次ぎ、企業の生産活動が停滞する懸念も売りに拍車をかけている。
17日の産油国の会合には、OPEC加盟国で3番目に生産量が多いイランは参加しなかった。議長国カタールのサダ・エネルギー産業相は会合後の記者会見で「イランなど主要な産油国が含まれれば、増産凍結の効果が高まる」と、参加に期待を示した。
サウジアラビアやロシアなど4カ国は2月、ほかの産油国の同意を条件に、原油の生産を1月の水準で据え置くことで合意。これを受けたこの日の会合では、賛同するほかのOPEC加盟国などが、増産凍結に向けた方策を話し合った。
1月に欧米から経済制裁を解除されたイランは会合前から、制裁前の生産水準に戻るまで増産凍結に応じないと表明。ロシアなどは一定期間の猶予を与えることに理解を示していた。
ところが、ロイター通信などによると、イランと政治対立するサウジは、会合でイランを含むすべてのOPEC加盟国が増産凍結に参加することを要請。約5時間に及ぶ会合でも溝は埋まらなかった。イランは1月から日量35万バレルほど増産しており、猶予を認めればイランのシェアがさらに高まることを警戒した可能性がある。
原油の国際指標である米国産WTI原油の先物価格は、2014年7月まで1バレル=100ドル台だったが、今年2月11日には1バレル=26・05ドルをつけ、03年5月以来の安値まで下がった。凍結合意への期待などから、足もとの米国産WTI原油の先物価格は少し上向き、15日は1バレル=40ドル台で取引を終えていた。サダ氏は記者会見で「2月に比べ、原油市場は改善された」と最近の原油価格の上昇を評価したが、合意が先送りされたことで、原油価格は値下がりが加速しそうだ。(ドーハ=中川仁樹、渡辺淳基、ロンドン=寺西和男)