(18日、東大3―2明大)
六大学野球、東大が明大に勝利 04年秋以来の白星
「打った瞬間、勝った、と思った」。右中間を破るサヨナラ打を放った山田は声を弾ませた。同点の九回2死二塁。思い切り振り抜いた3球目の球筋は、「覚えていません」。打席でそれほど集中していた。
3番を任されながら開幕から不調に陥り、これまでの3試合は無安打。17日朝、浜田監督から足の上げ方を変えるよう助言された。その日予定されていた明大との2回戦が雨で順延に。空いた1日でフォームを体にたたき込んだ。
的確な指導が勝利に結びついた形となったが、浜田監督は「それで勝てたのは偶然」と淡々としていた。勝因はむしろ守備にあったとみるからだ。昨年から守りを重んじ、守備と打撃の練習時間の配分は「8対2」。自主練習もほとんどの選手が守備に割く。「格上の相手はこっちが自滅しないと嫌なはず。自滅しないことが最低ライン」
この日は無失策。六回に追いつかれた後、七回から継投した有坂(2年、城北)が打たせて取る投球に徹して明大打線を封じた。堅守で粘れたからこそ、最後に好機が舞い込んだ。
3回戦は、今季完投した2試合ともに1失点に抑え込んだエース宮台(3年、湘南)の先発が濃厚だ。「勝ち点を狙えるチームになりつつある」と浜田監督。14年ぶりにその瞬間は訪れるか。(伊木緑)