スコップで土砂を取り除いて捜す警察などの捜索隊。ここで心肺停止状態の1人が発見された=18日午後4時41分、熊本県南阿蘇村の高野台地区、朝日新聞社ヘリから、上田幸一撮影
熊本県などでの一連の地震は18日、阪神大震災級のマグニチュード(M)7・3、最大震度6強を記録した16日未明の「本震」発生から3日目を迎えた。熊本県南阿蘇村では18日午後、土砂崩れの現場から2人が心肺停止状態で見つかり、その後、2人の死亡が確認された。地震による死者は44人となった。
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熊本県内では余震も続き、18日午後8時41分ごろには熊本県阿蘇地方や大分県西部で震度5強を観測する地震が起きた。熊本県内では18日午後1時半現在、約9万4千人が避難している。
県は18日午前11時半、安否が確認されていないのは南阿蘇村の9人と発表していた。死亡が確認された2人のうち1人は身元が判明した。村によると、この1人は9人の中に含まれ、残る不明者は8人になった。
倒壊した建物などに閉じ込められた被災者の生存率は「72時間」を超えると著しく下がるとされ、そのリミットが19日未明に迫る中、自衛隊や消防、警察などは18日朝から捜索を実施。夕方には同村河陽の高野台地区で女性1人を、夜になって同村長野の「ログ山荘火の鳥」付近で男性1人をいずれも心肺停止状態で見つけ、2人とも死亡が確認された。
男性は香川県東かがわ市馬篠、鳥居敬規(たかのり)さん(42)と確認された。県警は女性の身元確認を進めている。
県内での建物被害も深刻で、県によると、県内での全半壊の建物は約2200棟。県内の土砂崩れは18日午後2時半までに南阿蘇村、西原村、菊池市の計9カ所で確認された。今後の土砂災害を警戒し、18日は宇土(うと)市と甲佐町が一部の世帯に避難指示を出した。
一方で、復旧に向けた動きも出始めている。県によると、18日午後3時現在で県内の18万5千戸が断水しているが、このうち11万5千戸を占める熊本市の担当者は「19日未明までに解消できる見通しだ」とした。
JR九州によると、九州新幹線再開の見通しは立たないが、在来線は18日午後、鹿児島線荒尾―熊本間で運転を再開し、博多―熊本間が結ばれた。
空港ビルが損壊し、閉鎖されていた熊本空港は19日から全日空と日本航空などが一部の便で運航を再開する。