インタビューに応じる白井さゆり・前日銀審議委員=14日、東京都内
日本銀行の審議委員を3月末に退任した白井さゆり・慶大特別招聘(しょうへい)教授(53)が朝日新聞のインタビューに応じ、「現時点では追加の金融緩和をすべきではない」と語った。日銀がこれまで進めてきた金融緩和策が限界に近づいているとの見方も示し、現実路線に転換していくことを訴えた。
日銀前審議委員・白井さゆり氏の一問一答
白井氏は、2013年4月からの大規模な金融緩和には賛成していたが、マイナス金利政策の導入を決めた今年1月末の金融政策決定会合では、導入に反対した。その理由について「物価の基調が悪化していたわけではなく、新たな政策を導入すべき理由は特段なかった」と説明。マイナス金利政策の導入で、「日銀はさらに高い値段で国債を買わないと、国債の保有残高を増やし続けることが難しくなった」と指摘し、「結果的にこれまでの金融緩和の限界を早めてしまったのではないか」と語った。
日銀は今月27~28日に決定会合を開く。白井氏は今後の追加緩和について「6~7月ぐらいまでは、銀行がマイナス金利の環境に慣れて取引を活発化させていくのか、確認する時期だ」と話し、慎重に判断するべきだとの考えを示した。
前年比2%の物価上昇目標も、日銀が目指す「17年度前半」の達成は難しいとの見方を示し、「時間がかかることを率直に認め、持続可能な枠組みに変えていく必要がある」と強調。具体的には、「仮にマイナス金利のプラス効果をしっかり確認できたら、国債などの買い入れ規模を縮小する。そうすると金利が上昇する恐れがあるが、一方でマイナス金利の幅を拡大することで、その影響を抑える手法がいい」と述べた。(津阪直樹)