欧州連合(EU)の行政を担う欧州委員会は20日、米グーグルに対し、同社のスマートフォン向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」をめぐり、競争法違反(独禁法違反)の疑いがあるとする「異議告知書」を送ったと発表した。
異議告知書の送付は、競争法の是正手続きの第1段階とされる。EUは昨年4月に、グーグルの検索サービスが市場で支配的地位を乱用した疑いがあるとして、本格調査に着手した。告知書の送付は今回で2件目となる。結果によっては、同社は欧州のビジネスの抜本的な見直しを迫られる可能性もある。
EUの発表によると、欧州及び世界全体のスマートフォンの約8割がアンドロイドを使用している。同社はメーカーに対し、検索サービス「グーグルサーチ」など自社製アプリの搭載を要求したり、競合他社のOSが入ったスマートフォンの販売を妨害したりするなど、市場の支配的な地位を乱用し、同社製以外のアプリを締め出している疑いがあるという。
ベステアー欧州委員(競争担当)は会見で、「グーグルのやり方は、消費者のアプリやサービスの幅広い選択を否定している」と述べた。
EUは競争法違反が確定すれば、グーグルに最高で世界全体の売上高の10%の制裁金の支払いを求めることができる。
グーグルはこの問題について、米メディアの取材に「グーグルのアプリがなくてもアンドロイドを使うことはできる。最後は消費者が選ぶことだ」とコメントしている。グーグルの売上高の約9割は、アプリや検索などに表示される広告が占める。検索や地図、Gメールなどの自社の人気アプリをまとめて入れられなくなれば、売上高に直結する大きな打撃になるのは間違いない。(ブリュッセル=吉田美智子、サンフランシスコ=宮地ゆう)