失明につながる緑内障の進行を抑える化合物を、京都大のグループが見つけた。緑内障のマウスで試して効果を確かめた。グループは年内にも、短時間で失明する目の病気の患者を対象に安全性や効果を確かめる試験を始める予定。
緑内障、早期発見に光 京都府立医大など遺伝子変異確認
英科学誌ヘリヨンに19日発表した。緑内障は日本人の失明原因で最も多い。目の中の水分の圧力(眼圧)などによって、網膜の神経が傷ついて起きる。眼圧を下げる薬や手術はあるが、進行を止めづらい。
傷ついた神経細胞では、細胞に不可欠なATPという分子が少なくなっている。グループは細胞内のATPの量を高める化合物を開発。遺伝的に眼圧が高く、緑内障になるマウスに生後2カ月から毎日飲ませると、神経の減少は、生後10カ月の時点で2割減にとどまった。化合物を与えないマウスは6割以上減っていた。薬剤で目の神経を傷つけたマウスでも、神経細胞の減り方を抑えられた。
この化合物は人に使われたことがなく、安全性や効果は今後調べる。緑内障は進行に時間がかかり、短期間で確認できないため、発症後すぐに失明し、目の神経が死んでいく病気から始める。グループの池田華子准教授は「試験がうまく進めば、5年後ぐらいには緑内障で試験を始めたい」と話している。(阿部彰芳)