将棋名人戦の第2局で勝った佐藤天彦八段=23日午後10時9分、長野県松本市、角野貴之撮影
長野県松本市のホテルブエナビスタで指し継がれていた第74期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)の第2局は23日午後9時44分、挑戦者の佐藤天彦八段(28)が159手で羽生善治名人(45)に逆転勝ちし、1勝1敗のタイとした。持ち時間各9時間のうち、残りは佐藤挑戦者、羽生名人とも1分。第3局は5月12、13日に鹿児島市で。
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羽生名人の先勝で迎えた第2局。巻き返しを狙う佐藤挑戦者が攻勢に立ち、二転三転の攻防の末に名人戦初勝利を挙げた。
2日目午前、挑戦者が43手目▲4五歩から積極的に動いた。角交換から馬を作り、桂馬1枚を損しながらも敵陣突破を図った。
名人は70手目△7二角や86手目△7一桂など、自陣に駒を投入。検討陣の予想にない強気の受けの手を連発して徹底抗戦の構えを見せた。それが実って名人が勝勢に立ったが、持ち時間を使い切った最終盤で詰みを逃し、大逆転で挑戦者に勝利が転がり込んだ。
解説の中村太地六段は「苦しい局面でも名人に楽をさせず、勝負勝負と迫った挑戦者の指し回しが勝利を呼び込んだ」と話した。(深松真司)
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佐藤八段の話 難しくてずっと自信がなかった。最後は幸運だったと思う。まずは1勝できてよかった。第3局以降も頑張ります。
羽生名人の話 相手の馬の力が強くて、ずっと苦しかった。最後はなにか(勝ちが)あったとは思うが、読み切れなかった。