4月26日で事故から30年を迎えるチェルノブイリ原発4号炉(中央左)。老朽化した「石棺」を覆う新シェルター(同右)の建設が進む。原発から約3キロにあるプリピャチは原発労働者の街だったが、全住民が避難。市街地の集合住宅(手前)は廃虚と化し、森にのみ込まれてゆく=2日、ウクライナ、杉本康弘撮影
ウクライナのチェルノブイリ原発で史上最悪の事故が起きてから26日で30年を迎える。
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特集:チェルノブイリ事故30年
背丈を超える枯れ草をかき分けて進むと、点在する崩れた赤れんがが見えてきた。小学校の校長だったスベトラーナ・カリストラトワさん(68)は「ここだったかな?」と迷いつつも、なんとか元自宅にたどりついた。5年ぶりだった。
原発の西約40キロにあった旧ボロービチ村。マツとシラカバに囲まれた465戸に約1100人が住み、コルホーズ(集団農場)で働くのどかな農村だった。
村の歴史は1986年4月26日に止まった。放射能の汚染で住めなくなった。
記者は15年前も一緒にこの旧村を訪れた。当時はスベトラーナさんの家は形をとどめ道路もわかった。