アニメ「つり球」。江の島弁天橋の様子が忠実に表現されている=アニプレックス社提供 (C)tsuritama partners
映画やドラマのロケ地として、作品のファンを呼び込む神奈川県藤沢市の江の島。「聖地巡礼」のきっかけとなったとされる作品が、2012年にフジ系で放送されたアニメ「つり球」だ。細部まで島の様子を忠実に表現し、作品に登場する場所で写真を撮りたいと、コスプレを楽しむ若い女性らが押し寄せた。
「つり球」は男子高校生4人が釣りを通して友情を深め、江の島の「主」を釣り上げようとするSF青春物語。監督の中村健治さん(46)は各地を2、3カ月かけてロケハンをしていたが、江の島を見た瞬間に、舞台に決めたという。「島がとにかくかわいい。愛敬を感じた」と話す。
中村監督が徹底してこだわったのが、実際の風景を作品の中で忠実に再現することだった。写真を見ながら絵コンテを描き、絵コンテの構図と同じ写真をもう一度撮りに行って修整した。「うそがあると、地元の人が悲しむじゃないですか。それがすごくいやだった。ちょっと変態かもしれません」。地元に伝わる「江の島おどり」や「五頭龍伝説」も綿密に取材し、作品に取り込んだ。