「航空史上最大の謎」ともされるマレーシア航空MH370便(乗員乗客239人)が2014年3月に消息を絶った理由について、「パイロットが故意にインド洋に着水させた」とする新説が登場した。カナダの航空専門家の見方を豪紙オーストラリアンが14日、「パイロットが自身の飛行機をハイジャックした」と紹介した。
「航空史上最大の謎」捜索再開へ 消息不明マレーシア機
新説を発表したのは、カナダの元航空事故調査官のラリー・バンス氏。墜落原因は故障ではなく、乗客を道連れにした「犯罪行為」と結論づけた。
同氏は、インド洋西部などで見つかった翼の一部に変形が見られないことや、見つかった部品や破片が20点余りしかないことに着目。自身が調査した1998年のスイス航空機のカナダ東部沖の墜落事故では、高速で急降下して海面に墜落した衝撃で機体が200万点に分解したと指摘した。
同氏は「パイロットが(クアラルンプール発北京行きだった同機を)計画的に航路を変更し、比較的低速でインド洋に着水させた」とし、あえて陸から遠いインド洋南部を選んだ上、機体が分解して飛散しないような形で着水させて深海に沈ませ、残骸を発見されにくくしたとの見方を示した。
マレーシア運輸当局は17年3月の報告書で、機体は分解したとする一方で、空中分解か、墜落時の衝撃による分解か結論づけるには十分な情報がないとした。マレーシア、中国、豪州による機体の捜索は昨年1月に事実上、打ち切られたが、今年1月に米国企業が機体の捜索に乗り出している。(シドニー=小暮哲夫)