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上海の街中を歩いていると、あちこちで野良ネコや野良イヌを見かける。先ごろ、「上海初の野良動物のエサをゲットできる自動販売機」の動画がネットで大きな話題となった。
自動販売機に1元(1元は約15.65円)硬貨または空のペットボトルを入れると、1食分のペットフードが出てくる。ショート動画の投稿者は動画の中で、「空のペットボトル1つで、1食分のペットフードをゲットできる」としている。
11日から現在までにこのショート動画には61万3000個の「いいね!」が寄せられ、再生回数は700万回以上となっている。
そしてこの動画は社会の関心の的にもなっている。あるネットユーザーは、「私が暮らしている街にもそんな自動販売機があればいいのに」という声を寄せている。また、「この自動販売機はどこで買えるのか?」という質問も、中国各地から寄せられている。
しかし、「この自動販売機の運営は考えているほど簡単なのか?継続することができるのか?」など、懐疑的な声も寄せられている。
さらには野良動物にエサをあげるという行為自体に批判的な声もあり、「破壊や毒の混入、ネコやイヌなどが人に危害を与える可能性など、いろんな影響や問題がこれに伴って発生することになるだろう。こうした問題はすぐに解決できるものでもない」との意見も寄せられている。
自動販売機の設置地点周囲の住民も心配の声を上げており、「自動販売機の周りには動物の糞を目にするようになっており、団地の環境を損なっている」と指摘している。
この自動販売機をデザインした劉帥さんは取材に対して、「数ヶ月前にあるショート動画で、海外の野良ネコにあげるエサの自動販売機を目にした。そこから啓発を受け、この自動販売機を作ることにした。これは、自分でデザインして作ったもので、今のところこの1台だけ。制作には約1万元かかった。この自動販売機による收益はまだ出ておらず、今後はその機能をアップグレードさせたい」と説明している。
弁護士「野良動物が人に危害を与えた場合、責任を追及される可能性あり」
多くのコメントの中でも、「この自動販売機には高い法的リスクが存在する可能性がある」というコメントに注目が集まっている。このネットユーザーのコメントに、北京観韜中茂(上海)弁護士事務所の弁護士・葛志浩氏も同意している。
例えば、中国国内でも、これまでに野良イヌが人に危害を加え、その野良イヌにエサをあげていた人が責任を問われるといったケースがたくさん生じている。そのため、この自動販売機に法的リスクが存在するというのは、決して的外れな指摘ではない。
復旦大学生命科学学院の研究員・王放氏は、「単にエサをあげるというのは簡単なこと。でも、その前後にしなければならないことがたくさんある。自動販売機を環境保護と組み合わせたというのはとてもユニーク。ただ、生態という観点から考えると、この自動販売機がたくさんの場所に設置されると、連鎖反応を引き起こすだろう。その他、たくさんのネコの糞やエサをあげることによる野良ネコの急増、動物が人を襲う可能性といった問題も考慮しなければならない」と指摘している。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年10月16日