島根原発1号機の廃炉計画について、中国電力の清水希茂社長(右から2人目)らは松江市の松浦正敬市長(左端)に事前了解を申し入れた=28日午前、松江市役所、井元茂撮影
中国電力は28日、島根原発1号機(松江市、出力46万キロワット)の廃炉計画の事前了解を島根県や松江市に申し入れた。地元自治体が懸念する使用済み核燃料について、原子炉本体などの解体を始める2030年度までに再処理施設へ搬出すると、計画に明記した。中国電は島根県や松江市の了解が得られ次第、原子力規制委員会に計画を申請する。
島根原発1号機廃炉、2045年度めど 費用380億円
廃炉作業は16年度に始めても45年度まで約30年かかり、費用は約382億円を想定。工程は4段階で、解体準備に約6年、原子炉周辺設備、原子炉本体、建物のそれぞれの解体撤去に各約8年と見込む。解体で出る低レベル放射性廃棄物は約6080トンとした。
使用済み核燃料は燃料プールに722体を貯蔵。「原子炉本体などの解体期間の開始(30年度)までに再処理事業者に譲り渡す」とした。松江市の松浦正敬市長はこの日、「他原発よりかなり前倒しに搬出する計画であり、評価したい」と報道陣に話した。
昨年12月に廃炉計画を申請した九州電力玄海原発1号機(佐賀県)と、今年2月に申請した日本原子力発電敦賀原発1号機(福井県)は、廃止措置の終了までに再処理施設へ搬出するとしている。2月に申請した関西電力美浜原発1、2号機(福井県)は、原子炉周辺設備などの解体完了までに廃止する施設から搬出するとしており、再処理施設への搬出時期は明記していない。こうした原発と比べると島根1号機は、より踏み込んだ内容となった。
島根1号機は東京電力福島第一原発と同じ沸騰水型炉(BWR)。1974年、国産第1号の原発として営業運転を始めた。昨年3月、廃炉を決定。だが昨年6月、低レベル放射性廃棄物の点検記録に虚偽があったことが発覚した。当初、廃炉計画の申請のめどを半年程度としていたが、虚偽記録の調査で作業が遅れていた。(一色涼)