再審初公判のため、大阪地裁に入る青木恵子さん(手前左)=2日午前9時28分、大阪市北区、加藤諒撮影
1995年に起きた大阪市東住吉区の小6女児死亡火災で無期懲役とされた母親・青木恵子さん(52)の再審初公判が2日、大阪地裁で始まった。検察側は内縁の夫だった朴龍晧(ぼくたつひろ)さん(50)と同じく有罪主張を撤回。弁護側は、強圧的な取り調べの結果とする捜査段階の自白調書一式を証拠から除き、そのうえで無罪判決を出すよう求めた。
小6焼死の再審開始「僕は無実」 検察側、有罪取り下げ
冒頭で西野吾一裁判長は4月28日の朴さんの再審公判と同様、起訴内容への意見を青木さんに求めた。生命保険金を得るため2人で娘の殺害を計画し、朴さんが自宅車庫にガソリンをまいて放火して焼死させたとされたのに対し、青木さんは「私はやっていません。無実です」と述べた。
検察側は「すべての証拠を検討した結果、有罪主張は行わない」と述べ、朴さんへの対応と同じ姿勢を示した。ただ、自然発火の可能性は低く、取り調べも適正だったとする従来の主張は午後の論告でも変えず、「無罪」への言及を避けるとみられる。
弁護団は、再審を決めた昨年10月の大阪高裁決定も可能性を認めた軽ワゴン車のガソリン漏れが真の火災原因と指摘。検察に対して「無罪の論告をして青木さんに謝罪することが冤罪(えんざい)を防ぐ第一歩」と訴えた。
さらに、警察で作られた自白調書1通と自供書8通は違法な取り調べの結果で任意性も信用性もないと指摘。「裁判所は違法な取り調べを断罪し、誤った裁判を繰り返さないことを宣言するべきだ」と求めた。
公判は被告人質問を経て即日結審する。8月10日の朴さんの判決と同じころに無罪が言い渡される見通し。自白調書一式を証拠から排除するかどうかは判決の中で判断が示される。(阿部峻介)