サントリーホールディングス(東京)は2日、熊本地震で操業を止めている九州熊本工場(熊本県嘉島町)が、数カ月程度、稼働できない見通しを明らかにした。当初は「再開に数週間」としていたが、設備が相当損傷しているうえ、余震の影響で被害調査が進んでいないためだ。
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工場は、4月14日の前震を受け、操業を停止。さらに16日の本震でも被害を受け、配管や天井、ガラスが破損するなど「相当程度の損傷を受けた」(広報)という。また漏電の可能性があるため、いまだに工場に電気を通していない。
工場では、阿蘇から流れてくる地下水を敷地内でくみ上げ、ミネラルウォーター「阿蘇の天然水」に使っていた。だが、電気がないため水をくみ上げることができず、水質の調査も出来ていないという。夏の需要期を控えているため、サントリーHDは山梨県や鳥取県の工場などで増産し、「南アルプス」と「奥大山」の天然水を九州へ送る方針だ。天然水シリーズは2015年に全国で9480万ケース(1ケースは大瓶20本換算)を出荷した。そのうち熊本は年600万ケースの生産能力がある。
またビール類では「ザ・プレミアム・モルツ」などを生産。ビール類の昨年の出荷量8300万ケースのうち、熊本から800万ケースを出荷した。熊本ではこのほかに「ウーロン茶」や、緑茶の「伊右衛門」、缶コーヒー「ボス」などを作っている。(角田要)