「ASOMILK」の出荷が2日から再開され、従業員が瓶詰め作業にあたった=熊本県阿蘇市三久保の阿部牧場
地震の影響で牛乳の製造・出荷の中断に追い込まれていた熊本県阿蘇市三久保の阿部牧場が2日、出荷を再開した。水道が復旧し、生乳を集めるパイプや製造装置などを洗浄する水が確保できたという。阿部寛樹社長(39)は「復旧まで従業員みんなで努力してきた。地震から前に足を踏み出したい」と話す。
阿蘇の生乳、1日6トン「泣く泣く廃棄」 水確保できず
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阿部牧場は約300頭の牛を飼育し、「ASO(アソ)MILK(ミルク)」のブランドで知られる低温殺菌牛乳を県内外に出荷してきた。だが4月16日の本震後は断水のため出荷を停止。乳牛の乳房炎を防ぐため、搾乳したのに捨てることもあった。廃棄した生乳は約13トン。従業員の男性は「一滴でも無駄にするのがつらかった」と打ち明ける。
1週間ほど前から水が少しずつ出始め、大型タンクに水をためることで洗浄水確保のめどがたったという。2日は朝から従業員が瓶詰めや出荷などの作業にあたり、阿蘇市や福岡県に計約800リットルを出荷した。
熊本県畜産課によると、県内の生乳生産量(2014年度)は24万7千トンで西日本1位。酪農家から生乳を集めて製造する県内の四つの乳業工場も2日までに3工場で出荷を再開した。残る1カ所も今月上旬には再開する予定という。(稲野慎)