冊子や新聞から抜き出した文章をプリントにして授業に活用する高橋勇雄教諭=2日、愛知県豊橋市の桜丘高校、吉本美奈子撮影
3日は憲法記念日。今も読み継がれる冊子がある。1947年の施行直後、中学校の教科書として発行された「あたらしい憲法のはなし」。わかりやすい言葉遣いに、新憲法への期待もにじむ。授業で使い続ける教諭は「今だからこそ、読んでほしい」と話す。
「明日は何の日だ?」
2日午前、愛知県豊橋市の私立桜丘高校。1年生の授業で、社会科教諭の高橋勇雄さん(63)が問いかけると、教室がざわめいた。生徒たちは小声で言葉を交わすだけで、正解は出なかった。
「憲法記念日。憲法が施行された日です」。そう言うと、高橋さんは「あたらしい憲法のはなし」の冊子を取り出した。「ひらがなが多いから、読みやすいぞ」と一部を抜粋したプリントを配り、音読した。
「いまやっと戦争はおわりました。二度とこんなおそろしい、かなしい思いをしたくないと思いませんか」。生徒たちは静かに聴き入った。