乗用車とバスが正面衝突した事故現場=福島県大熊町、福島県警提供
福島県大熊町下野上の常磐道下り線で4日午後8時45分ごろ、高速路線バスと乗用車が衝突し、乗用車の2人が死亡した事故で、県警は5日、死亡したのは、同県広野町に住む中国籍の秦丹丹さん(33)と、長女で小学1年生の熊田京佳さん(6)と発表した。
県警によると、バスの乗客40人のうち38人と運転手、事故後にバスに追突した乗用車の運転手の計40人が軽傷を負い、そのほとんどが近くの病院に搬送された。バスは東京・池袋発、福島県相馬市行きの高速路線バスで、秦さん親子は宮城県内の水族館に遊びに行った帰りだったという。
現場は富岡町の常磐富岡インターチェンジ(IC)と浪江町にある浪江ICの間の片側1車線の対面通行区間。県警は、秦さんの運転する乗用車がセンターラインをはみ出して、バスに正面衝突したとみて調べている。
事故の影響で常磐道は、上り線が南相馬ICから常磐富岡IC、下り線が常磐富岡ICから浪江ICが、それぞれ5日午前3時45分ごろまで約7時間にわたり通行止めになった。
乗客などによると、正面衝突した乗用車は、バス前面下部に食い込んで大破。バスもフロントガラスと前面が大破した。まもなく、バスの前方から煙が上がり、運転手の指示で乗客が後部座席の非常口から避難した。乗客の一人は「いきなりドーンという大音響と衝撃の後、悲鳴が聞こえ、私も前の座席に背もたれに頭をぶつけた。10人ぐらいが血を流していた」と振り返った。
現場は、東京電力福島第一原発事故による帰還困難区域内。NEXCO東日本のホームページによると、この区間の放射線量は毎時0・65~4・05マイクロシーベルト。