東京地裁(田辺三保子裁判長)は9日、漫画家の五十嵐恵=ペンネーム・ろくでなし子=被告(44)に対し、女性器をかたどった「作品」を陳列したとするわいせつ物陳列の罪について無罪とする判決を言い渡した。自身の女性器の3Dデータを配布したわいせつ電磁的記録等送信頒布罪などについては、罰金40万円の有罪とした。検察側は罰金80万円を求刑していた。
被告の起訴内容は、2014年7月に東京都文京区のアダルトショップで女性器をかたどった「作品」3点を展示したほか、13年10月から14年5月にかけ、自身の女性器の3Dデータを、インターネットなどを使って東京都や名古屋市などに住む計9人に配布したというもの。
裁判では、「作品」や3Dデータがわいせつ物にあたるかが争点になった。検察側は「形状が女性器と明確に分かり、わいせつ性を緩和するほど高い芸術性があるとも言えない」などと主張した。
一方、被告は「女性器の卑猥(ひわい)なイメージを払拭(ふっしょく)するため、アート活動をしてきた。作品はアートであり、わいせつではない」として無罪を主張。弁護人も「わいせつ物陳列罪自体が、表現の自由を保障した憲法に違反する」と主張した。