9日、朝鮮労働党大会に臨む金正恩氏=AP
北朝鮮の首都・平壌で開かれている第7回朝鮮労働党大会は4日目の9日、残っていた議題の党規約改正と金正恩(キムジョンウン)第1書記の最高位推戴(すいたい)、党幹部人事を進め、閉幕した。党大会では9日、正恩氏が「党委員長」に就任したことが発表された。新たなポストを設けるのは、正恩氏の偶像化をさらに進め、独裁体制を強化する狙いとみられる。
金正恩氏が「党委員長」就任 朝鮮労働党大会
朝鮮中央テレビは、党大会の会場「4・25文化会館」で、金永南(キムヨンナム)・最高人民会議常任委員長が正恩氏の党委員長への推戴を発表する場面を伝えた。
30代前半と若く、経験も浅い正恩氏は、党大会という最重要行事の機会に「党委員長」という肩書を新設することで独自色を出し、最高指導者としての権威をさらに強めて忠誠と服従を求める狙いとみられる。
党人事ではまた、政治局常務委員に正恩氏、金永南氏、黄炳瑞(ファンビョンソ)軍総政治局長に加え、新たに朴奉珠(パクポンジュ)首相と崔竜海(チェリョンヘ)党書記が選任され、計3人から5人に増えた。
このほか、正恩氏の妹、金与正(キムヨジョン)氏らを重要ポストに起用し、幹部の世代交代を図る可能性も指摘されている。
北朝鮮は今回、日本や欧米など外国メディアの100人超を受け入れたが、3日目までは党大会自体の取材は認めていなかった。
36年ぶりとなった今回の党大会は、3日目までは核開発と経済再生を同時に進める「並進路線」の継続など既存の政策の再確認に終始していた。
北朝鮮メディアによると、3日目の8日に党中央委員会の活動総括の決定書が採択され、党中央検査委員会の活動総括報告があった。朝鮮中央通信によると、活動総括の決定書では、核武力を質量ともに強化していくことや、北朝鮮と韓国の体制を残したまま統一する「連邦制」を従来通り主張していくことなどが盛り込まれた。(ソウル=東岡徹)