焼け跡のがれきの山。住人とみられる人が、思い出の品を捜していた=26日午前、新潟県糸魚川市本町
新潟県糸魚川市の大規模火災で、市は26日、私有地のがれきの撤去を市が主導して進めることを決めた。被災者の了解を得たうえで、業者を手配して撤去し、費用もいったん負担する。
特集:糸魚川大火
地震や津波などの自然災害と違い、火災は個人が費用負担するのが一般的だが、できるだけ早く撤去することで街の復興につなげたい狙いがある。市は、27日の市議会に撤去費用を盛り込んだ補正予算案を提出する方針だ。
ただ、費用負担の割合は検討中で、後から住民に一部負担を求めることも選択肢として残っているという。市は27~28日に開く被災者説明会で意向を聞く。
県も支援を検討する。県廃棄物対策課によると、自然災害の場合は、費用の半額を国の補助金でまかなう仕組みがあるが、火災は対象外のため、県が市を支援する方法を模索する。
被災者には、がれきの処理への不安が広がる。市道などの撤去は市がほぼ終わらせたが、細い路地では手つかずのところもある。「自己負担」の原則が市民にも伝わり、不満の声も出始めている。自宅が全焼した一人暮らしの会社員男性(65)は「金銭的にも体力的にも無理。市がやってくれないと困る」と話した。
火災では144棟が焼け、このうち120棟が全焼した。また、市は26日の記者会見で、被災者に見舞金を出す方針も明らかにした。