マウスの胎児の脳に「ゲノム編集」と呼ばれる手法を応用し、神経細胞の遺伝子配列を正確に組み換える技術を米グループが開発した。細胞内の遺伝子の働きを詳細に調べることができるようになり、統合失調症や自閉症などの仕組み解明にもつながりそうだ。13日、米専門誌セル電子版で発表する。
米マックス・プランク・フロリダ神経科学研究所のグループは、マウスの胎児の神経の元になる神経前駆細胞に注目。その細胞が発達する時期の脳に、ねらった遺伝子配列を組み換える「ゲノム編集」に必要なたんぱく質などを注入して電気刺激を行い、正確な組み換えを起こす技術を開発した。1~2日で組み換えが可能だという。
組み換えた遺伝子が作るたんぱく質を顕微鏡で観察すると、神経細胞のどこで働いているのかなど詳しく調べることができた。グループの西山潤研究員は「病気にかかわる遺伝子の変異を生きているマウスの脳の細胞で再現して、病気の仕組みを探る研究につなげたい」と話している。(瀬川茂子)