うつ病などで治療や精神面のケアが必要な妊産婦が年間4万人いるとの推計を11日、厚生労働省研究班(研究代表者=光田信明・大阪府立母子保健総合医療センター産科主任部長)が発表した。
全国の病院や診療所2453施設で昨年11月に出産した妊産婦について、精神疾患の治療やケアの必要性を尋ね、1073施設(44%)から回答があった。出産した約3万9千人のうち1551人(4%)で治療やケアが必要と判断された。全国では年間約100万人が出産しており、4万人に相当するという。
1551人のうち診断や治療を受けていたのは459人(30%)で、276人(18%)は薬をのんでいた。一方、少なくとも381人(25%)は過去に診断や治療を受けたことがないとみられるという。
家庭や生活環境を分析すると、未婚や貧困などで問題を抱える人が目立った。診断や治療歴のない381人では、「実母と折り合いが悪い」「近所との付き合いがない」という傾向が強かった。
調査を担当した日本医科大産婦人科の中井章人教授は「妊娠や出産は女性に精神的なストレスがかかりやすくなる。妊産婦のケアを専門とする精神科医らを確保し連携することが重要」と話している。(南宏美)