韓国・公州にある東学農民革命の犠牲者慰霊塔=2014年9月、中野晃撮影
日本と朝鮮半島の歴史的なつながりを描くドキュメンタリー映画を作り続ける大阪市出身の映画監督がいる。前田憲二さん(80)=東京都=だ。1894~95年に朝鮮全土で起きた農民蜂起をテーマにした作品に新たに挑むが、資金難に直面。思いに共感した在日コリアンらが支援イベントを14日に大阪で、15日に京都で開く。
日本各地の祭りにみられる渡来文化の影響を追った1988年の「神々の履歴書」、植民地支配下の動員体験者らの声を集めた2000年の「百萬人の身世打鈴(シンセタリョン)」、豊臣秀吉の朝鮮出兵の痕跡をたどる09年の「月下の侵略者」……。こうした作品を手がけてきた前田さんが総仕上げとして選んだ題材が「東学農民革命」だった。
前田さんは13年夏にソウルで製作発表し、韓国内での撮影や蜂起した農民らの子孫へのインタビューに取り組んだ。「日本の植民地支配や戦争の原点を知ってほしい」という前田さんの思いに日韓の識者ら25人が「呼びかけ人」に。渡来文化の研究で知られ、3月に亡くなった上田正昭・京都大名誉教授も名を連ねた。
農民の蜂起から120年の節目となる14年中の完成をめざしたが、日本国内の反応は鈍く、資金難などで作業が滞った。窮状を知った在日3世のコンサルタント、蔡光浩(チェグァンホ)さん(47)=京都市=は今年2月、前田さんにチャリティーイベントを提案した。「日韓が仲良くなるため、過去に何があったのかをお互いが知らないといけない」との思いがあるからだった。