岩井沢小学校での「最後の運動会」。他校の児童たちも加わり、一緒に踊りを楽しんだ=14日、福島県田村市、福留庸友撮影
東京電力福島第一原発事故の影響で、児童の減少に歯止めがかからず、今年度で閉校する福島県田村市の岩井沢(いわいさわ)小学校で14日、「最後の運動会」があった。同校の140年の歴史に幕が下ろされるのを惜しむ地元住民たちが、19人の児童に声援を送った。
学校が地元住民や卒業生らに招待状を500通ほど送ったところ、約150人が集まった。卒業生の中学2年生、後藤奈菜さん(13)も駆けつけた。「岩井沢小の名前と校舎がなくなるのは悲しい」。6年生の佐藤沙也夏さん(11)は「6年間のイベントの中で一番盛り上がっている。たくさんの人が来てくれて感激です」と話した。
同校がある都路(みやこじ)地区の住民は、原発事故直後の避難指示を受けて避難した。今年4月末時点で地区内に住民票がある人は2564人。しかし、避難指示が2014年4月に解除された後も住民票を残したまま避難生活を続ける人は多く、実際に地区に戻ったのは約1600人だ。
同校の児童は原発事故後、市中心部の廃校になった学校を仮校舎にして学んだ。2年前に元の校舎に戻ったが、震災前に52人いた児童は避難指示解除直後は29人。現在は19人まで減った。このため、別の小学校と来年春に統合されることになった。(鈴木剛志)