資料館に展示されているロケセットについて説明する仲世古善雄さん=北海道富良野市
脚本家倉本聰(そう)さんのドラマ「北の国から」の資料約500点を集めた北海道富良野市の中心部にある「北の国から資料館」が8月末で閉館する。建物の老朽化や来館者の減少で、民間による運営を続けるのは難しくなったという。
資料館は1995年、農協のコメ倉庫を借りて夏季限定で開館。同市麓郷(ろくごう)で木材会社を営む仲世古善雄さん(73)が私財を投じて運営し、シリーズが「遺言」で幕を閉じた翌2003年からは土地と倉庫を買い取り通年営業してきた。
富良野を舞台に黒板五郎、純、蛍の親子3人が悩みながら成長するドラマの撮影時の写真や脚本の直筆原稿、テーマ曲の楽譜、撮影で使われた衣装や小道具などが展示されている。資料はフジテレビなどが提供、倉本さん自らがレイアウトなどを監修した。
仲世古さんは、ドラマで故・地井武男さんが演じた中畑和夫のモデル。倉本さんを最初に麓郷に案内した時、「こんなところが日本に残っているとは。ここでドラマを作れたら」と感動していたという。「お世辞だと思っていたら、本当にロケ地になった」
通年営業を始めた年は9万人近かった来館者も昨年度は2万1千人ほどに減少。倉本さんには既に閉館の意向を伝えたという。仲世古さんは「貴重な資料なので、できればどこかで引き取って公開してほしい」と話している。
同市郊外にあり、ロケの跡地を整備した「麓郷の森」は引き続き、ふらの観光協会が管理運営する。(渕沢貴子)