米軍が航空機から撮影した被爆後の広島の爆心地周辺=1945年10月ごろ、米海軍歴史遺産部写真資料保管室所蔵、広島平和記念資料館提供
広島平和記念資料館(広島市)は24日、72年前に原爆を投下した米軍のB29爆撃機「エノラ・ゲイ」から撮影したとみられるキノコ雲の写真を米議会図書館で新たに入手し、発表した。類似の写真はこれまでに2枚確認されているが、「キノコ雲の動きなどを把握する手がかりになる」として分析を進める。
キノコ雲の写真には、下側の窓枠のような機体の一部とともに、爆心地付近から上空に立ち上ったキノコ雲全体が写されている。雲は炸裂(さくれつ)直後の特徴とされる上下二つに分かれた状態。資料館が所蔵する類似の写真や、写真右下の識別用とみられるナンバーなどから、エノラ・ゲイから撮影したものと推定した。
資料館は昨年11~12月、初めて米議会図書館、米海軍歴史遺産部、米国立空軍博物館の3館に職員を派遣し、計約2100点の写真を収集。一部はすでに収集されたものと同じ写真だったが、うち未収集だったキノコ雲の写真を含めた10点を今回公開した。
原爆で破壊された爆心地付近を東向きに見下ろした空撮写真には、「撮影日 46年1月」と英文で記載。爆心地に印があるほか、エノラ・ゲイの機長だったポール・ティベッツ氏や爆撃手、航法士3人のサインも記されている。広島平和記念資料館の加藤秀一副館長は「いずれも価値ある資料。分析と収集を積み重ねていきたい」と話した。(高島曜介)