チャシコツ岬上遺跡から出土した「神功開宝」=北海道斜里町教委提供
北海道斜里(しゃり)町教育委員会は15日、知床半島にある「チャシコツ岬上遺跡」の9世紀ごろの地層から、奈良時代の銅銭「神功開宝」が出土したと発表した。国内最北の出土例といい、町立知床博物館は「北方のオホーツク文化が、北海道南部を経由して本州の律令国家と交流していた可能性を示す重要な発見だ」としている。
「神功開宝」は、奈良時代から平安時代にかけてつくられた「皇朝十二銭」の一つ。「和同開珎」「万年通宝」に次ぎ、765年に発行された。
オホーツク海沿岸などでは9世紀ごろまで、北方から渡ってきた海洋狩猟民族による「オホーツク文化」が栄えていた。皇朝十二銭は道内でも出土例があるが、オホーツク文化の遺跡から出たのは初めてという。発掘を担当した平河内毅学芸員は「北海道南部・中央部の『擦文(さつもん)文化』を経由して知床まで伝わったのではないか」とみる。
チャシコツ岬上遺跡は、海に突…