原爆投下翌日の1945年8月7日、広島の爆心地周辺の空撮画像。火災とみられる煙も見える。広島市立大・橋本健佑氏が写真を高解像度化した(広島平和記念資料館提供)
広島平和記念資料館(広島市)が所蔵する原爆投下前後の広島の爆心地周辺を空撮した写真について、広島市立大教授らがこのほど、解像度を上げる処理に成功した。当時の状況をより詳しく分析できるものもあり、同資料館が調査を進めている。
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高解像度化した写真は計9枚。昨年7月、核兵器廃絶に向けた政策を提言する米の民間研究機関「スティムソン・センター」が寄贈したもので、米軍が撮影し、トルーマン米大統領らに説明するのに使われたとみられる。
広島市立大芸術学部の吉田幸弘教授と同大写真映像教務員の橋本健佑氏はこの9枚を、それぞれ2分割して撮影し、拡大した写真を再びつなぎ合わせる手法で、1枚あたりの画素数を約1億5千万にする画像処理をした。
9枚は上空から写した原爆投下前の広島市街や、火災によるとみられる煙が残る投下翌日の写真など。うち、投下の約1カ月後となる1945年9月7日に写された2枚は、焼け野原にぽつんと立つ旧広島県産業奨励館(原爆ドーム)や、飛行場の飛行機も識別できる。
同資料館の小山亮学芸員は「拡大して見れば、被害状況をより詳しく確認できる可能性もある。撮影日時が不明な写真と照合し、時期の特定にも活用していきたい」としている。(高島曜介)