三菱自動車との提携について語る日産自動車のカルロス・ゴーン社長=横浜市
日産自動車のカルロス・ゴーン社長が13日、報道陣のインタビューに応じた。「好機」だったからこそ、三菱自動車を傘下に収める基本合意を素早くまとめたと説明。三菱自に派遣する開発部門トップは、来週にも候補者を示すという。
三菱自動車の燃費偽装問題
「時期を決めるのは周辺状況。不幸な状況のなかでやってきた好機をつかめるか否か。それだけ」
ゴーン氏によると、三菱自の燃費偽装が発覚したあと即座に接触を図り、三菱自から「すべての責任を認め、何が起きても日産のすべての損失を補償する」と書面で約束された。
「次に出たのが『これは、もっと一緒に協業できる好機か』という話だった」。検討の結果、相乗効果(車台共通化やエコカー共同開発)の余地が幅広いとわかった。「しかも株価が下落し、効果はますます目立った。明らかな好機と判断した」。三菱自株34%分の取得予定額は2370億円で、1株あたり468円52銭。偽装発覚前の4月19日の終値864円より4割超も低い。
三菱自の主要株主である三菱重工業、三菱商事、三菱東京UFJ銀行については「敵対的提携は好きではない。もし三菱グループの株主が反対だったら、提携に踏み切っていない」とした。株主も含め「原則的に合意できたのは発表の数日前」だったという。
■設備「過剰ではない」
リストラについては「今回の提携で工場閉鎖は義務ではない。いまは過剰な設備を抱えている状況にはない」と語り、三菱自の名古屋製作所(愛知県岡崎市)や水島製作所(岡山県倉敷市)などの工場は維持する考えを示した。