ゆったり座れるシートが売りの、ムーンライト号の車内(西日本鉄道提供)
福岡と近畿地方を30年余りにわたって結んできた西日本鉄道の夜行高速バス「ムーンライト号」が、3月末で運休する。ゆったり座れる3列シートを日本で初めて導入するなど国内の夜行バスのお手本とされた存在だが、格安航空会社(LCC)などとの競争に敗れ、歴史に幕を下ろす。
ムーンライト号は1983年の中国自動車道の全線開通に合わせ、「日本一長い距離を走る高速バス」として福岡―大阪間で運行を開始。「飛行機並み」のサービスを売りに、車内トイレ設置やビデオ上映のほか、毛布や飲み物の提供をしてきた。
現在は福岡―京都間を1日1往復。途中で神戸や大阪などに停車し、運賃は福岡―大阪の大人料金で8千~1万1千円。宿泊費を削れると、学生から社会人まで広い世代に愛された。しかし、近年はLCCや格安バスなどに客を奪われ、この10年間は赤字が続いていた。同社は「あと1カ月あまり、多くの人に乗ってほしい」としている。(村上晃一)