中央後方が瑞穂埠頭で、その大半が米陸軍施設の横浜ノース・ドック。手前はみなとみらい地区=横浜港
横浜港の米陸軍施設「横浜ノース・ドック」と周辺で大型連休中などに、米空軍横田基地(東京)のヘリコプターが、日本側へ通知せず特殊訓練をしていたことがわかった。一帯は訓練施設ではなく、訓練は日米地位協定に抵触する可能性がある。付近は商業・観光施設が集まる横浜の中心部で安全面の懸念もあり、防衛省や横浜市、県は事態の確認を始めた。
横浜ノース・ドック(ND)は、瑞穂埠頭(ふとう)と水域の計約63万平方メートルを港湾施設として米側に提供。主に陸軍が管理し、物資の搬出入や貨物輸送、備蓄に使われている。湾岸の南西側は観光施設が集まるみなとみらい地区、北東側は工場や発電所が並び、西には横浜駅周辺の商業地域がある。
連休中の4月29日午前11時前、灰色のヘリが横浜港上空を何度か旋回した後、ND上でホバリングし、特殊器具で機内の兵士を地上へつり下ろした。ヘリはその後、埠頭にある風力発電ハマウィングの風車の上部より低空で旋回飛行してからNDへ戻り、地上の兵士を機内につり上げた。
みなとみらい地区に家族で遊びにきていた女性(47)は「突然現れ、何事かと怖かった。たくさんの人がいる行楽地で軍隊が訓練したのなら、信じがたいことです」と話した。
在日米軍司令部は朝日新聞の取材に、空軍横田基地のヘリUH1がNDで訓練をしたと回答した。29日に加え、同月25日にも昼と夜に同型ヘリが訓練をしたと公表した。在日米軍によると、この訓練は、新たに機体へ装備したホイスト(つり下げ装置)を使った特殊任務飛行班によるもので、夜間は暗視ゴーグルも用いて難易度が高いという。ホイスト訓練について、自衛隊パイロットは「高度な技術と判断力が必要で、かなりの危険が伴う」と語る。